多汗症や、手のひらの汗の軽減のお悩みのご相談なら渋谷にある山本英博クリニック

代償性発汗とはCOMPENSATORY SWEATING

代償性発汗についてCOMPENSATORY SWEATING

代償性発汗の治療も可能となっております。
適応のある方には対応させて頂いております。
副作用の対応ができる医療機関の選択をお勧めします。

代償性発汗とはETSにより胸・背中・腰・臀部・大腿・下肢など、脇より下方の体の汗が増える現象です。
当院ではこれまで12600件以上のETS手術実施と代償性発汗の手術治療の結果、
どのような手術が「代償性発汗の防止・改善につながるのか」について知識・経験と技術があります。

最初に、代償性発汗の認識を正しく把握するべきです。
代償性発汗は、ETSにより手の汗が止まった分量が体から出るのではありません。
元々、多汗症ではない肺がんの手術でも交感神経への操作が加わることで、代償性発汗と同様の発汗が生じることがあります。

「強い代償性発汗はもう治らないのか?」という質問をよくうけます。
LSFG技術を用いることで治癒・改善は可能です。
代償性発汗の予防・対策が可能です。

しかしながら、現時点でも手術における代償性発汗の発生のリスクは0%とは考えていません。1000件のETSに対して3から5件の発生があります。胸膜肺癒着や胸腔内の奇形や血管の走行異常などの要因で所定のLSFGの技術が応用できない場合があるからです。
代償性発汗

代償性発汗に対する留意点

代償性発汗はETSで手術する交感神経の部位に関係しています。したがって、代償性発汗ですでに困っている人でも、切除設定を見直すことにより改善できるといえます。「代償性発汗は一度そうなったらどうすることもできない。」というのではありません。代償性発汗はETS術後に胸や背中から腹・腰・臀部・大腿に多くの汗が出る状態となります。そのメカニズムは、通常の汗が出る仕組みと同じく、汗腺に交感神経から発汗信号が届けられた結果発汗しています。代償性発汗も同じく、汗の多い皮膚の汗腺が術前よりより多くの発汗信号が届けられたため発汗量が多くなっています。代償性発汗が出ている汗腺には交感神経が活発に発汗信号を運んでいるわけです。

この交感神経がどの部分を走行しているかが分かればその神経の遮断で、代償性発汗の部位の皮膚の多汗は治まります。この亢進している交感神経の部位を明らかにするのが交感神経に対する電気刺激試験とLSFG です。LSFGはレーザー光を用いて皮膚の血流量を観察する技術です。ETS後であっても交感神経に、微弱な電気刺激を行うとその支配下の皮膚の血液循環量が減少します。代償性発汗の部位と関係する交感神経の場所を把握し適切な交感神経の遮断が可能となります。その結果、代償性発汗は治まります。

Yamamoto H, Okada M. Application of laser speckle flow graph for compensatory sweating. J Thorac Cardiovasc Surg. 2017;154:113-115.

ではなぜ、ETS前には発汗量がそれほど多くなかった皮膚に交感神経から発汗信号が来るようになったのでしょうか? この理由について、多汗症教室で詳しく説明しています。

ETSについて

どの交感神経を手術すると、どの部分の皮膚の交感神経活動に影響を与えるかを手術中に把握しなければなりません。 この技術が術後の代償性発汗の治療の成果を決定します。さらにこの技術は初回のETSにも応用でき、代償性発汗を抑えることが出来ます。

代償性発汗は、初回ETSで適切ではない交感神経の手術を受けた結果であると言えるわけです。したがって、T4切除で代償性発汗が抑えられるわけではありません。切除箇所が少ないことも代償性発汗の原因となります。ETSは、多汗症を起こしている原因となる交感神経を選択し、適切な手術が行われなくては、副作用が生じます。

そして、手や脇の汗がETSで減少した分だけ代償性発汗になるというのではありません。(一部の医療施設のホームページに記述されていますが、そのようなものでもありません。)要するに、代償性発汗は、術前の汗の量に関係していません。

多汗症の汗が多くても、術後代償性発汗は全く無かった人もいれば、その反対の人もいます。
むしろ、代償性発汗は発汗の勢いに限るものではなく発汗が始まるタイミングや一日の回数などが増えるため、日常生活に支障が生じると理解する必要があります。
気温が25度くらいでも汗が出始めたり、一日何度も着替えをすることになると大変となることは明らかです。
一方、元々の手の多汗症や顔・脇の多汗も日常生活を害します。
ETSの手術が患者様の生活の改善になるためには、ETSを両側同時に行うのではなく、
まず片側を受けることで、代償性発汗を引き起こす原因となった交感神経を特定できます。

ETSを受けるのであれば、代償性発汗に取り組む知識・経験・技術のある治療施設の選択が必要です。

これからETSを受ける患者さまへ

ETSでは代償性発汗という副作用があり、手術の仕方によっては激しい場合があります。
多汗症の治療を受ける際には、代償性発汗に対する治療の実績を知っておくことも肝要です。

T3あるいはT4であれば代償性発汗は「少ない」とか「最小である」などの表現を他病院のホームページで見受けますが、誤りです。交感神経の切除の量以上に切除部位も代償性発汗に大きく影響します。切除箇所がT3のみであるとかT4のみで安心というものではありません。厳しい代償性発汗が生じることがあります。複数段のETSを一律的に行うと、代償性発汗を引き起こす交感神経節を手術する可能性が高くなりますが、T4だけで予防できるものではありません。
当院の過去の資料ではT2に関係するものが約30%。T3・T4・T5では約5%という結果でした。
T2でも約70%の人は厳しい代償性発汗にはなりません。
一方、T3・T4・T5でも5%に厳しい代償性発汗があります。
また、T2を行なわなければ発汗が止まらない多汗症の患者さまも存在します。
T4やT5では多汗症の治療として汗の止まりが不十分になります。
切除設定は、LSFG技術を用い個別に行う必要があります。

※当院の治療の進め方と異なる他施設の患者様のお問い合わせについては件数が余りに多く対応が出来かねる場合がございますのでご了承ください。
特にT4手術を受けた患者様、短期間で両側同時に手術を受けた患者様の問い合わせが多くなっており、手術を受けた病院でご相談ください。